【実体験】猫が鼻血を出した!鼻血の原因と病院に行くべき理由

猫について

実は昨年末、飼い猫のささかまが鼻血を出してしまいました。 

当時は最悪のケースも覚悟しました。

 

単なる鼻血でしょ?そんなに深刻に考える必要あるの?

ささかま
ささかま

猫の鼻血は珍しいことなんだにゃ!

人の場合、鼻をぶつけたり、空気の乾燥など鼻血が出ることはよくありますよね。しかし、猫の鼻の構造上、人のような理由で鼻血を出すことは少ないと言われています。 

つまり、猫の鼻血には深刻な病気が隠れている可能性があるかもしれません。 

特に深刻な病気

悪性腫瘍(ガン)
血液凝固異常(血が止まりにくくなる病気)

今回は、猫の鼻血の原因と、すぐに病院へ連れて行くべき理由について書きます。 

それは本当に鼻血?

まずは落ち着いて対応を

猫の鼻や口元に血がついている…! もしかして鼻血!??

ささかま
ささかま

まずは一旦落ち着くにゃ

 
猫が鼻血を出しているのを発見したら飼い主はとても焦ってしまうと思います。 私もそうでした…。

でも、それって本当に鼻血でしょうか?

動物は痛みがあったり、違和感があるところは頻繁にグルーミングをします。その際に血液が口回りに付着することで鼻血だと勘違いしてしまうこともあるでしょう。

以下の表は、鼻血のように見えるが実はそうではない場合とその確認方法です。  

ささかまの鼻血発見時の写真。念のため口の中も確認したところ、血液が付着しているのが見えたが、これは鼻血を舐めとったことが原因だった。結構紛らわしいですよね。

ささかま
ささかま

あの時の飼い主の慌てようと言ったらないにゃ

それでもやっぱり鼻血かも…?

ささかま
ささかま

鼻のどこから血が出ているかを確認するにゃ!

両方の鼻から?片側だけ?鼻の中?それとも鼻周りのキズから?

以上の項目をしっかりと確認することで、病院受診時に正確な診断と早期治療に繋がります。 

ささかま
ささかま

難しい時は写真や動画を撮って、獣医師に見せるといいにゃ

猫の鼻血は病院に行くべき?

私はすぐに病院に連れていくべきだと考えます。 

猫の鼻血は手遅れになるとまずい病気が隠れている可能性があります。

特に深刻な病気

悪性腫瘍(ガン)
血液凝固異常(血が止まりにくくなる病気)

ただし上記の項目を確認し、明らかに鼻血ではなく単純な外傷の場合は緊急性は低いでしょう。
※外傷の程度が重ければ受診を勧めますし、今は軽傷でも後日化膿して腫れる可能性もありますので経過をしっかり観察することが重要です。 

 動物病院で詳細な検査をしないと、単純な外傷なのか深刻な病気なのか区別することは難しいです。 

それでも病院に連れていくべきかどうか迷っている(鼻血は出たけど猫は元気など)のであれば、動物病院に連絡して状況を説明した上でどうすべきか判断を仰ぐことをおすすめします。 

猫の鼻血の原因

では、猫に鼻血が見られた場合の主な原因についてお話していきます。

鼻血が出る主な原因
  1. 感染症
  2. 鼻腔内腫瘍
  3. 歯周病
  4. アレルギー性鼻炎
  5. 血液凝固異常
  6. 品種によるもの(遺伝的要因)
  7. 外傷・異物の吸引(説明は省略)

感染症

鼻血を伴う感染症の代表的なものとして、いわゆる“猫風邪”(上部気道感染症)が挙げられます。 

主な症状  目ヤニ、流涙、くしゃみ、鼻水(時に血まじり)、口内炎、ヨダレ、元気食欲低下等 
主な原因ヘルペスウイルス、カリシウイルス、クラミジア等の感染 
感染経路感染猫との接触(くしゃみや鼻水等を介する)、一度症状は治まってもストレスがかかったり体力が落ちた時にも発症(ヘルペスウイルスによる潜伏感染) 
好発年齢2~3ヵ月齢の子猫、体力が衰えている高齢猫など 

猫風邪により鼻の粘膜に炎症が起こると、血管が破れやすくなり出血が生じることがあります。この時の鼻血は、ダラダラと滴るようなものではなく、さらっとした鼻水に所々血が混ざったようなものであることが多いでしょう(慢性化すると緑色で粘性のある鼻水が出ることも)。ただし、猫風邪=鼻血という訳ではありません。むしろ猫風邪による鼻血はそれほど一般的ではありません。鼻血よりも、目ヤニ・くしゃみ・元気食欲の低下などの症状が先行して見られることのほうが一般的です。 

鼻腔内腫瘍

鼻腔内腫瘍とは、鼻の中に出来るデキモノの事を指します。これは良性と悪性があり、良性の鼻腔内腫瘍は稀で、ほとんどが悪性(ガン)だと言われています。さらに悪性腫瘍のほとんどがリンパ腫だと言われています。
(以下、鼻腔内リンパ腫について記述)

主な症状目ヤニ、流涙、くしゃみ、鼻水、鼻血、いびき、顔面の変形、元気食欲低下等
主な原因   猫白血病ウイルス、猫免疫不全ウイルス陽性、受動喫煙など 
(※これらの原因がなくとも発症します。むしろ鼻腔内リンパ腫はウイルス感染が陰性の場合での発症の方が一般的だと言われています。)  
好発年齢多くは高齢猫だが若い猫でも発症することもある 

とある論文には、慢性的な鼻水・鼻づまり・鼻血など鼻の症状が見られる猫のうち、約4割が悪性腫瘍で、さらにそのうち約7割がリンパ腫であったという報告もあります*¹。鼻腔内腫瘍によって鼻血が出る原因は、鼻の中の腫瘍が何かのきっかけで傷つくことによって生じます。その際の鼻血の性状は、鮮血(真っ赤な血)がタラリと垂れていることが多いでしょう。また、鼻腔内腫瘍での鼻血は片方の鼻のみから出ることが多いと言われています。

リンパ腫は鼻の中だけでなく、腸や皮膚、脳など全身に発生しうるもので、発生した場所によってさまざまな症状を引き起こします。

歯周病  

歯周病が原因で鼻血が見られることもありますが、そこまでの症状が見られる場合、かなり進行している可能性があります。 

主な症状口臭、ヨダレ、痛みによる食欲不振、くしゃみ、鼻水、目ヤニ、鼻血、歯の脱落、顎の骨折
主な原因歯垢・歯石内の細菌 
好発年齢4歳以降 (4歳以降の猫は約8割が歯周病を発症していると言われている*²*³)

歯周病を放っておくと、歯を支えている歯茎や骨まで溶かしていきます。それが上顎で起こると口と鼻を隔てる組織を破壊し出血することで、鼻血として症状が現れることがあります。 

アレルギー性鼻炎

猫も人と同様に、アレルギー性鼻炎を起こす子がいます。アレルギー性鼻炎により鼻血が出るとしたら、透明の鼻水に交じったような鼻血が見られると思います。

主な症状くしゃみ、目ヤニ、鼻水(時に血まじり)など 
主な原因フード、ハウスダスト、ノミ、花粉など 

 春先にくしゃみを連発していたら、花粉症によるものかもしれませんので、季節の変わり目は特に注意して観察しましょう。また、アレルギーが原因の場合、症状は鼻だけでなく皮膚や消化器(下痢・嘔吐等)にも現れることがあります。いつもよりも頻繁にグルーミングをしていないか、脱毛箇所はないか、皮膚の色や便性状は正常かなどしっかりと観察して早期発見・早期治療に努めましょう。  

血液凝固異常 

健康な動物は外傷などにより出血しても多くの場合、自然に止血されます。それは体内に備わる止血機能がしっかりと働いているためです。止血機能が正常に働くためには、主に血小板、10種類以上ものタンパク質、ビタミン等が必要になってきます。ですが、何らかの原因により、それらの減少/機能異常がみられると止血機能がうまく働かなくなってしまいます。

主な症状  皮膚や粘膜での内出血や痣 、軽い傷でも血が止まらない、血便/尿、鼻血、元気食欲低下、荒い呼吸など
主な原因免疫介在性(自己免疫のエラー)、感染症(ヘモプラズマ、猫エイズウイルス、猫白血病ウイルス、敗血症等)、悪性腫瘍、肝臓/骨髄障害、薬物など(※一部先天的疾患も含まれます) 

品種によるもの(遺伝的要因) 

先天的に鼻の骨や軟骨に形質異常を持つ品種は慢性的な鼻炎や鼻血が見られやすいと言われています。

短頭種(エキゾチックショートヘア、ペルシャ、チンチラ、ヒマラヤンなど) 
短頭種とは、いわゆる「鼻ぺちゃ」のような外観の猫です。この鼻ぺちゃは、鼻の中の軟骨がうまく形成できていないため(軟骨形成不全症)、どうしても慢性的な鼻炎になりやすいと言われています。鼻粘膜が傷つくことで鼻血を出すことがあります。
スコティッシュフォールド、アメリカンカール、マンチカンなど 
これらの品種の猫たちは、“折れ耳”や“短い足”といった可愛らしい特徴をもちますが、この代償が“骨軟骨異形成症”という先天的な疾患です。これは耳や足だけでなく、全身の軟骨に異常をきたし、コブ状に腫れて関節の動きが制限され、痛みが見られます。鼻の軟骨も例外ではなく、この疾患が原因で鼻血を出してしまうことがあります。 

最後に 

猫の鼻血の原因は様々ありましたが、重要な点は、どれも原因は異なるのに鼻関連の症状は非常に似ている、といった点でしょうか。 

今回紹介した病気で特に深刻な病気は、「鼻腔内腫瘍」と「血液凝固異常だと思います。どの病気も適切な検査と獣医師の診断が必要不可欠ですが、特にこの二つの病気は早めの対応が猫の予後を左右するかもしれません。

鼻血だけではなく何かしらの異変・違和感に気が付いたら、動物病院へ連れていくことを推奨します。 

また、異変に気が付いたのが夜中や早朝だった場合は、最寄りの病院が開院していないこともあるでしょう。時間外でも対応可能な病院や救急病院を受診することになりますが、そうすると追加の診療費がかかるでしょう。
費用面で不安があったり、そもそも病院に連れていく必要性があるのかどうかわからない時は、ぜひ電話して直接聞いてみましょう。 

これらの情報が何かのお役に立てれば幸いです。

ブログの管理人
この記事を書いた人

アラサー獣医師。新卒で牛の獣医師として約6年務めるも、心身ともに疲弊し休職・復職を経て退職。在職中に出会った猫と馬に夢中になりその魅力発信のためブログを開設。乗馬歴は200鞍程度。上達したくて本やネット、YouTube等で得た知識をもとに書いている。ふわっとした情報は嫌いなので論理的かつ分かりやすい情報発信に努めている。(※現在妊娠中の為乗馬はお休み中)犬猫の診療経験はなく、記事を書くため再度勉強する日々。

まいにちささかまをフォローする
猫について
まいにちささかまをフォローする
まいにちささかま

コメント

タイトルとURLをコピーしました